天下一品で一番おいしいのは京都の桂店という事実
天下一品って京都発祥なんだよと言うと、「え〜、あんなにコッテリしてるのが〜!?」と驚かれることが、わりとあります。京都の味って、素材の味を活かすため、味付けの加減をできるだけおさえた、いわゆる「あっさり味」が共通の認識なんでしょうね。
でも、じつはラーメンに限って言えば、京都で有名なお店って、結構味が濃くて「コッテリ味」なんですよね。そんなコッテリ味のラーメン屋さんの中でも、老舗で、かつ今だに先頭を走っているのが天下一品です。
好みが極端に分かれるほど、独特の獣臭がただよい、麺を持ち上げるとスープがごっそり付いてくるほどの粘着質を誇り、よくあれだけ薄い味付けに慣れた京都人に受け入れられられたなあ、と地元が京都なボクにとっても謎です。京の七不思議にランクインしてもいいくらいじゃないでしょうか。
京都発祥の天下一品は京都の町のあちこちにあります。車を適当に15分走らせると、必ず見つかるくらいです。面白いのが、どの店舗もメニューが微妙に違っているところです。飲食チェーンって、普通どの店で食べても味は同じですよね。メニューも同じなはずです。
でも天下一品の場合は、店舗ごとにメニューは全然違って、味も微妙に変わります。店舗によってはカツ丼を出してたりしてビックリします。スープの量もなんとなく店舗によって違う気がします。味は、同じコッテリを食べても、濃厚さの度合いが店舗ごとに違います。
店舗によって違うオリジナルメニューの一例。楽集ラーメン。
昔東京に住んでた頃に、アメトーークで天下一品芸人をやってました。すごく盛り上がってましたね。関西芸人にとって、天下一品はソウルフードそのものですから、語ることは尽きません。その回の次の日、当時住んでた吉祥寺の天下一品に行列ができてました。普段はガラガラだったのに。
思ったのが、やっぱり「テレビすげぇ」ですよね。そして、もう一つ「でも、そこは本当の天一の味じゃないよ」と心のなかでつぶやきました。
天下一品の本店は京都の北のほう「白川通」にあります。多くの天一ファンは「やっぱり本店が一番うまいよね」的なことをいいます。でも、実は違うんですよ。本当に一番うまいのは「桂店」です。「国道9号線=五条通り」の天一こそが、本店をしのいで、一番おいしい天下一品なのです。
先に言ったように、店舗ごとにメニューや味付が微妙に異なります。桂店も例に漏れず。桂店でぜひ注文してほしいのが「赤」です。赤は、一味唐辛子を意味しています。ラーメンに特別にブレンドした一味唐辛子をふりかけてくれるのですね。
メニューを見てみましょう。どの種のラーメンも「赤」にできることがわかります。
ここは天一。もちろんコッテリを選んだ上で「赤で」と注文しましょう。
これが普通のこってり。
赤バージョンはこんな感じ。
鮮やかな赤色が食欲を刺激します。色みほど辛くなくて、ほんのりピリリと舌を刺激する上品な辛味です。コッテリスープのあの独特な甘みと非常にマッチします。甘みと辛味がお互いに引き立てあう感じ。相思相愛なのです。
じつは今回、半年ぶりくらいに天一を食べました。スープを一口、最初に口に運んだ瞬間、「これこれこの味やねん」と、心のなかでガッツポーズ。いや、口に出して言っていたかもしれません。京都の辺鄙なところで育ったボク、近くにあったラーメン屋はこの天下一品桂店くらいで、いわば、ボクは天一と一緒に育ってきたといっても過言ではありません。「ラーメン=天一」なのです。
だからこそ、天一ファンの人に桂店へ行ってほしい。赤を味わってほしい。まずはやっぱり本店に行きたいですよね。ええ、わかりますよ。行ってください。でも、そのあと必ず桂店で「赤」を試してみてください。いままでの天一の印象がガラリと変わり、さらに天一の魅力にどっぷりハマるはずです!
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