Web系フリーランスをモンスタークライアントから守る契約書【テンプレートあり】
契約書なしの口約束でお仕事を受けてませんか?
- 自分はまだ駆け出しのフリーランスだから……
- クライアントへ契約の手間を与えてしまうから遠慮しちゃう……
- 契約とか法律とかよくわからないから……
などなど、理由は様々あるのかもしれません。
でも、契約書なしで案件を受けていると必ずいつかトラブルが起きますよ。
例えば、代金以上の労働を求められたり、お金を払わず逃げられたり。
ボクも12年間、ウェブ制作業に関わってきてますが、残念なことにこうした契約に関わるトラブルをいろいろと経験しました。
確かに、契約書を自分で作るのは難しいです。行政書士へ契約書の作成を依頼するとかなりお金がかかります。
でも、契約書がたった1枚あるだけで、クライアントと友好的な関係を長く築けるのも事実です。
この記事のタイトルには「モンスタークライアントから守る」と書きました。
実際は、契約書は制作を受ける側のあなただけを守るものではありません。クライアントの権利も守ります。
契約書があることで、受注側と依頼側の両方が誠実に責任を持って業務に向き合うことができるのです。
あなたとクライアントのお互いが、末長く仲良くお付き合いしていけるように!
そんな願いを込めて今日ここで、ボク自身が使っている「契約書のテンプレート」を無料で配布します。
契約書の中身は21条。以下では21条のそれぞれの意味についても詳しくお伝えしていきます。
まずはお手元に契約書のテンプレートをダウンロードしておきましょう。それからこの記事を読んでいくと理解が深まるはずです。
X(twitter)からなら、かわいい「契約のしおり」もあげます!
やばくてかわいいのができてしまった。
【フリーランス限定】無料であげます。★モンスタークライアントからweb系フリーランスを守る「契約書のしおり」
★契約書テンプレ付き←これがガチでつかえます。まさか、いまだに口約束でお仕事を受けてませんよね?… pic.twitter.com/ymEOTNQZ7i
— ウェブさえ (@websae2012) April 9, 2024
ダウンロード後は、ぜひ下のボタンを押して、フリーランス仲間へ共有してあげてください。
喜んでもらえると思いますし、僕も嬉しいです。
契約書テンプレートの用意はできましたか?
それでは契約書の中身について、説明を始めていきましょう。
目次
- この契約書テンプレートを使うときの注意
- WEBサイト制作業務委託基本契約書21条の説明
- 第1条(目的)
- 第2条(本業務)
- 第3条(仕様書)
- 第4条(契約期間)
- 第5条(制作料金)
- 第6条 (着手金)
- 第7条(納品)
- 第8条(公開)
- 第9条 (制作物の返品・再制作)
- 第10条(所有権の移転、危険負担)
- 第11条(契約不適合責任)
- 第12条(アフターサービス)
- 第13条(著作権)
- 第14条(知的財産権の帰属)
- 第15条(再委託)
- 第16条(秘密保持)
- 第17条(不可抗力)
- 第18条(損害賠償)
- 第19条(契約の解除)
- 第20条(協議)
- 第21条(管轄裁判所)
- 【契約書と一緒に】フリーランスが使うと便利なサービス・ツール
- オンラインで契約を結ぶ方法、印紙も不要
- 見積書・請求書も作れるフリーランスの会計・確定申告用サービス
- フリーランスでもクレジットカード払いを導入可
- フリーランスをお金のトラブルから守ってくれるサービス
- 自宅の住所・電話番号を秘密にできるバーチャルオフィス
この契約書テンプレートを使うときの注意
ダウンロードできる契約書のテンプレートは、改造しやすく、また、読みやすくするためボリュームを減らしてます。
クライアントのほうが契約書を交わすことに慣れてない場合もありますからね。
分厚い契約書を渡して「ウゲッ!」と引かれたら困ります。契約書の書式を保ちながらも、なるべく簡単な言葉を使い、文章量も少なくしました。
その結果、「契約」という言葉に苦手意識を持つ人にでも、抵抗なく利用しやすい契約書になったと思います。
案件の大きさや制作するWebサイトの仕様によっては追加・削除が必要な条項や変更すべき言い回しもあるかと思います。
契約書の改編は自由ですので、その都度、案件に合う内容にアレンジして使ってください。
ただ、二次配布はご遠慮くださいね。
また、この契約書がらみで生じたトラブルにウェブさえは一切責任を負いませんので、その点もあらかじめご了承くださいませ。
WEBサイト制作業務委託基本契約書21条の説明
契約書は21条から構成されてます。
つまり、契約書は21個のルールをクライアントと約束するためのものです。
それぞれのルールについて何を約束しているのか、しっかり理解しておきましょう。
第1条(目的)
契約書を交わす目的を宣言してます。
これからあなたとクライアントが、
「お互い仲良く協力しあいながら双方ともに満足しあえるWebサイトを作っていきましょうねー」
ということを約束しています。
第2条(本業務)
クライアントとあなたで担当する業務を明らかにしています。
クライアント→文章や画像などホームページの素材を用意する。
あなた→素材を利用して、ホームページを作る。
このようにお互いの「やるべきこと」を約束しているので、例えば、「え〜画像はそっちが用意してくれるんじゃないの?」的な言い合いを避けられます。
第3条(仕様書)
Webサイトを作るのにかかるお金や時間は、クライアントの希望によってマチマチです。
よって、「すべての案件に共通することは以外は、別に仕様書を作り、そっちで約束しましょうね」ってことを言ってます。
第4条(契約期間)
契約書の内容の有効期限についてです。
契約書で約束した内容をいつまで守るのかを決めています。
Webサイトはいつまでもネット上に残りますからね。
忘れた頃に生じるトラブルでクライアントと制作側のお互いが苦しまなくて済むように、どちらか一方が解約を申し出ない限り契約は自動的にいつまでも更新されます。
第5条(制作料金)
制作にかかるお金についての約束です。
消費税のこととか、制作費を払うタイミングについて決めています。
お金のトラブルはもっとも避けたいものです。
契約書を交わしておけば、お金のやり取りで損することを防げます。
第6条 (着手金)
制作に着手するためのお金についての約束です。
少しでもお金を先に払ってしまうことに不安を感じるクライアントもいるかもしれません。
でも実は、着手金のメリットはクライアントのほうにもあります。
クライアントは、先に預けた着手金をもちろんムダにしたくはありません。だから、さらにやる気を制作進行へと注げます。
また、着手金を払っておくことで、堂々とあなたに責任のある仕事ぶりを要求できるのです。
あなたは着手金を預かっておくことで、安心感が高まるのは当然、責任感もアップ。
一生懸命、制作に身を投じ、万が一途中でクライアントに逃げられたとしても、労働力への対価を失わずに済むので、全力投球で業務に向き合えます。
このように両方にメリットがあるので、着手金を払ってもらうことに遠慮する必要はありません。
第7条(納品)
制作を「これで完了!」とする時点をどうやって決めるのかを約束しています。
制作途中や完成間近になって突然消息を絶ってしまい連絡がつかなくなるクライアントが残念なことに、たまにいるんですよね。
この「納品」の条項で「連絡なしが7日間=完成です」ということを決めておけば、連絡がつかない案件でも納品扱いにできるので安心です。
第8条(公開)
Webサイトを公開するタイミングを決めています。
制作費の支払前に公開してしまうと、制作が終わったことに安心して、なかなかお金を払ってくれないクライアントもいます。
あくまでお金を払ってもらったあとに一般公開しますよ、ということを約束しています。
第9条 (制作物の返品・再制作)
納品後、クライアントの都合による返品や大幅な作り直しを避けるための約束です。
もし、修正作業が必要になれば、必要な作業量に応じて料金が発生することを決めています。
第10条(所有権の移転、危険負担)
Webサイトの持ち主が移るタイミングを約束しています。
全ての制作費が支払われたあと、Webサイトの持ち主は制作側からクライアントへ移ります。
Webサイトから発生する利益はもちろん、Webサイトがらみのトラブルもクライアントの責任に移ることを決めています。
第11条(契約不適合責任)
Webサイトの保証期間を90日間と決めています。
90日の間なら、「初期不良的な欠陥や制作側に原因がある間違いは無料で直しますよ」ということを約束しています。
- 【2024/4/26】 瑕疵担保責任から契約不適合責任に修正
- ここでのお知らせがちょっと遅くなってしまったのですが、2020年4月1日の民法改正により、瑕疵担保責任は契約不適合責任に名称が変更されました。
2024/4/26以前にダウンロードした人は、この変更に伴いテンプレートも修正するので新たにダウンロードしてください。
第12条(アフターサービス)
「納品後、制作側に原因がある変更や修正以外は、必要な作業量に応じてクライアント負担で追加費用が発生しますよ」ということを約束しています。
第13条(著作権)
Webサイトに使用されている画像や文章などの著作権が、制作側からクライアントへ移るタイミングと著作権がらみのトラブルへの対応方法を約束しています。
例えば、「使った画像が実は他サイトからの転用だった!」なんてことが完成後に判明しても、それがクライアントの指示なら責任もクライアントのほうにある、ということを約束してるんですね。
第14条(知的財産権の帰属)
今回のWebサイトを作るのに利用したスペシャルでオリジナルなアイデアやノウハウを守るための約束です。
クライアントと制作側、双方が持つアイデアとノウハウは今回のWebサイトを作るためだけにシェアされることを決めています。
第15条(再委託)
制作側は制作作業の一部分、もしくは全部を知人や他の業者に外注できることを約束しています。
ただし、外注先も本契約書の内容を守ることが求められます。
第16条(秘密保持)
クライアントは制作側の、制作側はクライアントの秘密をしっかり守りましょうねー、ってことを約束してます。
秘密保持の約束は、契約期間とか関係なくいつまでも続きます。
第17条(不可抗力)
病気とか災害とか自分では予想できなかったことで制作が中断されても、「クライアントと制作側、どっちの責任でもないですよ」ということを約束しています。
第18条(損害賠償)
こんなことは絶対避けたいですが、もし、どちらかがこの契約によって損害を受けた場合は、相手に損害賠償を請求できることを決めています。
ただし、損害賠償を請求できるマックスの金額が、トータルの制作費以上にはならないことも約束しています。
第19条(契約の解除)
契約はできる限りクライアントと制作側が協力して守っていくことが重要です。
でも、どうしてもという場合は、契約を解除できること、その方法をここで約束しています。
第20条(協議)
「どんなトラブルもクライアントと制作側のお互いが協力しあって解決することが重要ですよ」ということを約束しています。
これはホントに重要。
制作中は意思の疎通がうまくいかないことが多々ありますが、できる限り対話をしてうまく進めていきたいものですね!
第21条(管轄裁判所)
どうしてもどうしても話し合いで解決できなれれば「出るとこ出るぞ!」と法廷で戦うこともできます。
その場としてどこの裁判所を利用するかを決めています。
契約書の内容は以上です。
すでにたくさんの人にダウンロードしていただいているようでありがとうございます!
まだの人のために、もう一度、ダウンロードリンクを記載しておきます。
ダウンロード後は、フリーランス仲間へ共有してあげることを忘れずに。
この契約書は、ボク自身の「こんな内容でお願い!」と知人の行政書士さんに頼んだものです。
なので、冒頭でも言いましたが、案件に合わせたアレンジが必要になるかと思います。
また、この契約書を一方的に押し付けるのではなく、クライアントからの要望も聞きながら妥協案の作成が必要になる場合もあるでしょう。
あなたのスタイルに合わせて工夫しながら使っていただければ幸いです。
【契約書と一緒に】フリーランスが使うと便利なサービス・ツール
おまけで、フリーランスの業務を楽にし、売上アップにも役立つサービス・ツール4つを紹介します。
今回配布している契約書のテンプレートとともに使えば、フリーランスライフの質が向上すること間違いなしです。
【クラウドサイン】オンラインで契約を結ぶ方法、印紙も不要
契約書を交わす手続き、面倒ですよね。
顔を合わしての手続きはもちろん、郵送も手間がかかります。また、契約後の書類の保管もめんどくさい。
そこで便利なのがオンラインで契約を結べる「クラウドサイン」。
メールで契約書を送って、ネット上で契約書に署名を入れてもらえます。契約後の書類をネット上で保管しておくことも可能。
オンライン契約なので印紙が不要な点も嬉しいです。
無料から試せるのでぜひ今回の契約書と一緒に使ってみてください。もう便利すぎて、もう紙の契約書には戻れません。
クラウドサインの詳しい使い方は以下の記事で特集しました。
【フリー】見積書・請求書も作れるフリーランスの会計・確定申告用サービス
フリーランスは税務も自分でこなす必要があります。
売上・経費を日々記帳しておかなければ、利益の計算ができず、確定申告にも困ることに。
でも、こういう税に関する事務作業って難しくてめんどくさいんですよね。
あなたはどんな方法でこのわずらわしい業務を行ってますか?
ボクはすべて「フリー(Freee)」に任せてます。
フリーに銀行口座を登録しておけば、出入金の履歴を自動で取得。
その後の会計処理は自分で行う必要がありますが、ただ画面をクリックするだけ、なんの売上か経費かを振り分ければいいだけなので超ラクです。
確定申告用の書類も自動で作成してくれて、最近はネット経由で申告までも済ませてくれるようになりました。
税理士の代わりにフリー。無料プランもあるのでぜひ試してみてはいかがでしょうか。
【スクエア】フリーランスでもクレジットカード払いを導入可
クライアントさんのクレジットカード払いに対応できます。
ペイパルを使っているフリーランスの方も多いと思いますが、最近ペイパル関連の詐欺とかスパムが多くなってませんか?
だから僕はもうペイパルを使うのはやめました。
スクエアは、メール、請求書、QRコードで代金を請求可能で、決済後の代金をそのまま銀行に振り込んでくれます。
いろいろ便利で安心感もあるので、これからカード決済を導入したい個人事業・フリーランスへおすすめです。
詳しい使い方は以下の記事を参考にしてください。
【フリーナンス】フリーランスをお金のトラブルから守ってくれるサービス
最近はコロナのせいで、お金の回りが悪くなってしまった人もいるのではないでしょうか。
フリーランス業は、会社づとめとは違い、安定した給料が約束されていません。
コロナのような社会情勢の変化がモロに収入に影響し、また、自分自身の状況でも病気になったりすると途端に売上に響きます。
そんな不安定なフリーランス業を支えてくれるサービスが「フリーナンス」です。
名前は少しふざけてますけど、サービス内で利用できる保障の内容は頼りがいのあるものばかり。
フリーランス業を長く続けていくことに、体やお金の不安を感じている人は一度サービスの内容をチェックしてみてください。
【ワンストップビジネスセンター】自宅の住所・電話番号を秘密にできるバーチャルオフィス
自宅を仕事場にしているフリーランスの方も多いでしょう。
ボクも昔はそうでした。
自宅を仕事場にしていて困るのが、住所や電話番号を公開するとき。なんとなく抵抗がありますよね。
最近はバーチャルオフィスが簡単に安く借りられるのをご存知でしょうか?
有名企業が多いエリアにオフィスを持てば、信頼性が高まりクライアントの数を増やす効果も得られます。
実際ぼくもフリーランスとして独立後しばらくしてから借りた、東京一等地の住所と03の電話番号で営業を始めたとたんに案件の数が倍増しました。
ワンストップビジネスセンターなら、低価格であこがれの場所へ事務所を構えられます。
以上、契約書と一緒にあると便利なサービスの紹介でした。
目の前の仕事だけに集中できればいいのですが、現実的にフリーランスは生活と業務を両立させなければいけません。
業務をラクに効率化できるサービス・ツールはたくさんあります。賢く利用していきたいものです。
読み終わったらシェア!