初めて?業者へ依頼するときのホームページ制作の流れ
特に「初めて」のホームページをこれから作りたいなあと準備している方々からのお問い合わせで、よくある迷いがこの2つです。
- 1. 依頼前に何を準備しておけばいいの?
- 2. 申し込み後の制作の流れがわからない…
1の「依頼前に準備しておいたらよいこと」については、けっこう昔に書きました。もう3年まえなんですねぇ。ずいぶん経っちゃいました。
その後、何度か追記や修正してます。今だに公開当時と変わらぬアクセスを集めていることから、いつの時代も迷えるホームページ発注予備軍の方々が多いのだなあと実感します。
制作側の立場で「ここまで準備できていたら最高です」という願望プラスで書いているので、チェックリストのいくつかは、素人さんにはちょっと難易度の高いものがまじっています。
実際はここまでの必要はございません。究極をいえば、ノープランでも大丈夫です。漠然としたアイデアに形を与えていくのも制作側の仕事です。
どんな物事でも知識が不足していると、初めの一歩がやたら怖くなります。でも、なんのことはない、小さくてもとりあえず足を踏み出せば、あとは坂道を下るかのように2歩目、3歩目がついてくるということもよくあります。
なので、「ホームページが欲しいなあ」と思ったら、遠慮せず早いうちに一度業者へ問い合わせしてみるといいですよ。 「いままでの悶々がなんだったのか」というくらいに話が一気に転がり出し、その1ヶ月後には、できあがったホームページでウハウハしている、なんてケースも珍しくないからです。
そういうわけで本題です。業者宛の最初のお問い合わせから、どうやってホームページが形を帯び、ネットで人目に付くようになっていくのかを流れに沿って説明します。
道順が少しでもイメージできていれば、はじめの一歩のハードルはグッと下がるはずです。ぜひ参考にしてみてください。
ホームページ制作の流れのパターン
流れの詳細の前に。じつは、ホームページを作るときの流れにもいろいろなパターンがあります。そのパターンを分ける条件として以下の4つをあげてみました。
- 1. ホームページのタイプ
- 2. 制作会社かフリーランスか
- 3. 制作指揮者の性格
- 4. 時代
これら4つの違いによって、制作の流れが微妙に変わります。4つめの「時代」というのが大げさで気になりますが、焦らず1から順に見ていきましょう。
1. ホームページのタイプ
「ホームページ(=ウェブサイト)」といってもいろいろなタイプがあります。会社案内的なもの、ネットショップ、ブログなどです。あなたの求めているのはどのタイプですか。それによって、制作を進める流れは変わります。
例えばネットショップを作る場合は、シンプルな会社案内用のホームページと比べると、ショッピングカートや顧客を管理するための機能が追加で必要です。複雑なプログラムを任せられる専門的な技術者を制作チームへ加えなくちゃいけません。
制作に関わる人の数や職種が増えると、制作を進める過程でコミュニケーションが必要な経路や回数も増えます。制作の道筋は一本では済まなくなります。
流れが複雑になると、依頼側のあなたの負担も増えることになります。引き続きネットショップを例にしてみましょう。
ネットショップに必須ともいえるクレジットカード決済を導入するには、決済代行業者との契約が必要です。契約内容の確認から契約手続きまで、未経験者にとって荷が重い作業はすべて制作会社へ丸投げしたいところです。けれど、予算に余裕がなければ、嫌なことでも自分でやらなくちゃいけなくなります。
基本的には、制作会社が負担する作業量によって制作費は決まります。なので、「求めるサイトのタイプが複雑になりそうなんだけど、その流れには巻き込まれたくないんだよね」というなら、制作会社へ丸投げできるだけの予算を用意する必要があります。
逆に、できることは自分でやるという覚悟があれば、費用的な負担は減らせます。お金か手間のどっちを選ぶか、究極の選択ですね。
ただ、専門性が高い作業は、値が張ってもプロに任せたほうが良いと思います。どんなことでも、譲っちゃいけない部分ってありますよね。「核」とか「柱」とか言われる部分です。フッと吹いただけで倒れる家みたいになっては困ります。大事なところはケチっちゃダメです。
2. 会社組織かフリーランスか
依頼先が、組織的に動く制作会社なのか、独裁的に動けるフリーランスかによっても、ホームページ制作の流れは変わります。
制作会社では制作をチームで進めることが多いです。フリーランスでも、作るホームページの規模や機能によってはチームを作って制作にあたることもあります。でも、ここではわかりやすい例として「フリーランス=ひとりで全部やる人」と定義しておきます。
制作チームを率いる役割を「Webディレクター」と呼びます。制作会社でも全ての裁量権を与えられているwebディレクターはいますが、一般的には、制作中どんなツケが生じても最終的に自分で背負えば始末をつけられるフリーランスのほうが小回りが効きます。
小回りというのは、柔軟性とも言い換えられます。仕事を受けるか否か、金額、納期などすべてのタイミングにおいて自分が神の意思を持つフリーランスと異なり、制作会社はウェブディレクターの一任で物事を決定できません。極端な例をいえば、規定の修正回数をわずか1から2回超えるような場合でも、上司の許可を得なくちゃいけません。
小回りという点ではフリーランスが勝りますが、制作工程を流す効率性については制作会社のほうが得意です。大きな制作会社ほど職能ごとに部署が細かく分かれています。デザイン作業はデザイナー、プログラミング作業はプログラマーへ担当させられます。種類が異なる作業をその作業の専門家へ任せられるので、各作業を高いクオリティで効率よく同時に進行させられます。
ボク自身、外注でフリーランスさんに手伝ってもらうことがあります。デザインやプログラミングなど実作業のスキルには、いつもわりと満足できているのですが、発注から完了までの流し方については、「ちょっと(苦)…」ということが結構あります。
特に制作会社での実務の経験がなく独学でフリーランスデビューした方に目立ちますね。もうちょっとこの辺の流れをテンプレ化できていたら、ムダなやり取りが少なくなるよ、というアドバイスをすることがよくあります(このこと、今度ブログに書いてみます)。
ちょっとしたワガママを聞き入れてもらいながらゆるく制作作業を進めていきたいならフリーランスへ、多少融通が効かなくても仕組み化された方法で効率よく進めたいなら制作会社へ。
一概に2つに分けるのは乱暴かなあとも思いましたが、ボクの感じとしてはこういう依頼先の選び方も腑に落ちます。
3. 制作指揮者の性格
時によって、スキルよりも制作を指揮する者の性格って大事です。明るい/暗い、前向き/後ろ向き、積極的/消極的、とか。ここでは「慎重」と「大胆」を例にしてみます。
慎重なタイプであれば、本番の制作作業へ入る前に何度もヒアリングを繰り返し、将来的にブレが生じない綿密なプランを練ろうとします。一方、大胆なタイプなら、打ち合わせは最低限に済ませて、とにかく現物を試作しトライ&エラーしながら進めるでしょう。
どっちがベターな進め方なのかは、依頼側との相性もあるので判断が難しいですね。
先を急ぐ依頼者へ石橋を叩くことを求める。石橋を叩いている依頼者のケツを蹴って先を急がせる。どちらも必ず一悶着へ引火します。
本当は、制作者のほうから依頼主の性格を理解し、炎上させないリードの仕方で制作を進行できれば良いのですが、全体的な制作スケジュールを俯瞰する制作指揮者の視線は、時に依頼主の性格に反した方法でも流れを推し進めていかなくちゃいけないと判断します。
制作途中で依頼主と制作側の意見の衝突が起こることも珍しくありません。良い物を作りたいと、お互いが真面目に目指しているからのことです。でも、絶対的にお互いのウマが合わないということとなれば、不毛な衝突ばかりが起き、途中で疲れきって、結局完成まで辿りつけなかった、そういう悲劇になる恐れもあります。
そんな疲弊しきったあげくの悲劇を避けるためには、申込時に「わたしはこういう感じで進めていきたい」ということを制作側へ伝えておくことです。
同じ初心者さんでも、「専門的な用語も1つずつ理解しながら進めていきたい」という人もいれば、「難しいことはお任せするので、とにかく早く形にしてほしい」という人もいます。両者では、制作側がすべき対応方法がまるで違ってきます。
「どんなホームページを作りたいのか」ということと同じくらい、「どんなふうに制作を進めていきたいのか」についても、申込時に相談しておきましょう。そうすることで、気分よく制作の流れに乗っかっていけます。
4. 時代
ウェブ制作の技術は進化するのが速すぎです。もう息切れを超えて、まれに心不全を引き起こしそうなほど追いかけるのが大変です。
目についた新しい技術の全部に飛びつく必要はないですが、風向きの変化に敏感でいないと、クライアントさんからの厳しい要求へ対応しきれず、ウェブ制作者を求めるマーケットからも取り残されてしまいます。だから、けっこう本気で感度を保ってます。
最近の大きな変化はスマホの出現でした。インターネットとの接点がビーチでもトイレでも可能になったことで、ホームページの使われ方が大きく変わりました。それによって、ホームページを作成する方法と流れにも大きな影響が現れます。
昔もInternet ExplorerとChromeや、MacとWindowsのようにブラウザやOSの間で同一になるように、ホームページの見え方、動き方の調整はしてました。でも、「スマホ x ベッドの上」、「タブレット x 電車の中」のように、サイトへアクセスしてくる端末と環境の組み合わせを、今ほど数多く想定する必要はなかったです。極端な話、デザインはPC用の一種類だけ用意すればOKでした。
それが今では><…画面の大きさごとに、見やすく使いやすいデザインを考えなくちゃいけません。でも、だからといって、今までどおりのやり方で本当に画面サイズの数だけデザインを作って、クライアントさんに確認してもらおうとすると、日が暮れるどころか納期を過ぎてしまいます。
そこで、最近ウェブさえでは試作品という意味の「プロトタイプ」というものを用意する方法を採用してます。最初にガチッとデザインするのではなく、ある程度の見え方と動き方が分かる形でホームページをブラウザ上に表します。そして、クライアントさんと一緒にPCやスマホからアクセスし、修正が必要な部分が見つかれば、直接プロトタイプへ手を加えて調整し、完成を目指します。
ホームページを形づくっていく直接的な技術だけでなく、クライアントさんとの連絡手段も時代ごとに進化してますね。メールや電話など連絡のための方法は、制作をスムーズに進められるかどうかへ強く影響します。だから、連絡手段もホームページのできを左右する大きな要素のひとつだといえます。
例えば、ボクはチャットワークをメインの連絡手段として愛用してます。メールでできることの全部に加えてセキュリティ効果が高く、メールでは避けたい機密性の高い個人情報の送受信も任せられるので、ウェブ制作を進める上では欠かせません。
制作を進めていく流れは、技術的な面に加えて連絡手段も一緒で、効率化できるほど、制作コストを下げられます。結果的にお客様が負担する制作費を安くすることにつながるので、実はお客様のほうにもメリットがあります。
でもやっぱり、「どうしてもイヤ、嫌なんだ!」と新しい何かを利用することに脊髄反射で拒否反応を示すクライアントさんもいます。慣れないことに触れるのが、単純に恐いからです。昔ほどではないですが、接見での打ち合わせにこだわる方もまだ多いですね。
ただ、これからホームページを作り自分で運営していくことを決めたなら、ネットをうまく活用する方法も積極的に学習していくことをおすすめします。ホームページを介して、これからネットを活動の場としてビジネスを展開していくわけですから、「苦手だから」を言い訳にしていると、目前に現れたチャンスも逃してしまいます。
このブログでは、便利なウェブサービスやツールをカテゴリーに分けて紹介してます。暇な時に覗いてみてください。
ホームページ制作の流れ(ウェブさえの場合)
だいたい基本的にウェブさえでは、こんなふうにやってます。
これまで説明してきたように、ホームページを作る流れはさまざまな要因で微妙に変わります。一応のパターンを示しておくので、あとはホームページの規模やご自身のスキルをもとに依頼先の業者さんへベストな流れを相談してみるといいと思います。
流れはザックリ分けて8ステップあります。
- 1. お問い合わせ
- 2. お見積もり
- 3. お申込み
- 4. 企画提案
- 5. 原稿作成
- 6. 制作作業
- 7. 確認
- 8. 公開
1. お問い合わせ
会社や店舗へ直接訪問しての、あるいは電話をかけての営業は一切やってないので、お客様からのお問い合わせが最初のきっかけになります。
最初のほうにも書いたのですが、どの業者へ依頼するときも、それほど怖がる必要はないです。電話でしゃべるのが苦手なら、メールでわからないことを箇条書きで送れば、答えが返ってきます。その答えが完全にマトを外れていたり、理解不能な専門用語ばかりだったりすれば、その業者は止めておいたほうが無難です。
理想的な業者は、質問した内容への回答に加えて、新しい何かを提案してくれるところです。これはボク自身が心がけていることでもあります。お客様からのお問い合わせが漠然としすぎていることも多いのですが、そういうふうに「プラスα」で返事できればいいなあと努めています。
2. お見積もり
最初のお問い合わせから何度かやりとりして、ある程度形が見えれば必要な費用を算出します。お客さんの予算に合ってないことは珍しくなく、合わない場合は、複数のページ数をひとつにまとめたり、既存のテンプレートを利用したり、費用をおさえる工夫を提案します。
3. お申し込み
見積りOK → 契約書への同意と着手金のお振込みが揃って、お申し込みとなります。
フリーランスの方へ発注するときは契約書の発行がない場合があります。口頭の約束だけで、制作へ突入する小さめの制作会社もありますね。注意しましょう。契約書は、発注者であるあなたの権利を守るものでもあります。契約書一枚があれば、泣かずに済んだのにという悲劇があとを絶ちません。
契約書がある場合でも油断は禁物です。しっかりと内容をチェックしましょう。契約書の内容は、最初に提示されたものが絶対ではありません。修正回数やサポート期間など、案件ごとにアレンジが可能な部分もあります。不安なところは、契約時に相談して、甲乙の両方がハッピーになれる契約内容に調整します。
着手金については、まだ完成してないうちに金額が発生することに違和感を覚えるでしょう。でも、制作側は、着手金を受け取ることで、安心して制作へ着手できます。
じつは、依頼側も着手金を払っておくことで、制作途中のモチベーションの低下を防げます。依頼側と制作側が不安なくテンションを保ちながら制作を進めるための保険のようなものだと理解していただければと思います。
4. 企画提案
お申し込みが完了したら、直ちにヒアリングを行います。お申込前にうかがった要望をさらに具体化させます。
最初はアンケート感覚で入り、順に深くページ数やデザインなど、どんなホームページを作るのかを企画します。企画の内容を企画提案書の形にします。
このときプロトタイプも作成します。実際にどんな見方で動き方になるのかを表したホームページの試作品のことです。小さく簡単なホームページの場合はワイヤーフレームで済ますこともあります。ワイヤーフレームについても過去に書いてます。
企画提案書とプロトタイプ(あるいはワイヤーフレーム)を一緒に提案することで、知識のない初心者さんでも、ホームページの完成像をイメージできます。最初のほうで依頼者と制作者の未来予想図をしっかり共有しておけば、制作後半でよくある「イメージとまったくかけ離れている」という失敗を避けることができます。
5. 原稿作成
企画にOKなら、各ページの原稿を作成していただきます。
原稿には文章と画像の用意が含まれます。たぶんここがお客様にとって最大の苦難ですね。文章を書いたり、写真を取ったり、慣れない作業で大変だとは思いますが、先にプロトタイプを確認しておくことで、必要な文章や画像をイメージしやすくなっているはずです。
過去に原稿作成のコツを記事にしておきましたので、こちらも参考にしてみるといいと思います。
6. 制作作業
ここはボクの頑張りどころです。ご用意してもらった原稿をホームページとして見られる状態へ変えていきます。デザイン、コーディング、プログラミングと呼ばれる専門的な作業のことです。
7. 確認
制作途中で何度か、それまでのできあがりの具合を確かめてもらいます。どの業者でも、案件ごとに決められた修正回数があります。ウェブさえでは、小規模のホームページの場合で、前半3回、後半3回の合計6回程度を目安にしてます。
8. 公開
確認が終われば、いよいよ世間へ公開します。1から7の途中、良いタイミングを見つけて設定したドメインとレンタルサーバーへ、制作したデータをアップロードします。
注意したいのは、ホームページは「ここ」が始まりです。公開直後のまま放置しておくだけでは、アクセスも増えず、売上に役立つこともないからです。
最低限、Googleアナリティクスのようなアクセス解析を設定して、ホームページへの日々の来客数をチェックしましょう。毎日眺めていれば、上昇しないアクセスへ嫌気がさして、どげんかせんといかん、という気持ちが湧いてくるはずです。Googleアナリティクスの設定やアクセスアップには以下の記事が役立ちます。
ふぅーっ。かなり長くなりましたが、ホームページの作成を業者へ依頼した時の流れについて書いてきました。よい依頼先が見つかるといいですね!
中には、以下のようなツールで自分でホームページをつくろうと準備している人もいると思います。参考になったら幸いです。
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