フリーランス8年目に株式会社を設立しました

Author: ウェブさえ |
2018年2月26日
カテゴリー フリーランスの生活・仕事術
本ページに記載の商品・サービスはプロモーションを含みます。
B!

株式会社ウェブさえ

2016年4月15日に株式会社ウェブさえを設立しました。フリーランス歴8年目の珍事を記念して、個人事業から法人化した流れや会社設立のメリット/デメリットを書き残しておきます。

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著者情報:この記事を書いた人

ウェブさえ x facebook 株式会社ウェブさえ 著者のプロフィール

web業界14年目。フリーランスwebデザイナーとして活動後、法人化。今でも年間100件以上のウェブサイトの企画・制作に関わっています。

実務経験もコネもなかった開業当時

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まさか会社を設立するだなんて開業当時は思ってもみませんでした。フリーランスとしてデビューした8年前は、ウェブ業界での実務経験もコネも皆無だったからです。

ちょこちょこっと趣味でホームページをいくつか作ったことがあるだけの素人同然、にわかウェブデザイナーが、なんの実績もなく個人事業主として看板を掲げてやっていくなんて、カナヅチが手製のいかだで大海原へ漕ぎだすのと同じように無謀な挑戦に違いないと本人が一番自覚してました。

きっと運が良かったのですね。いざ漕ぎ出してみると、それほど海は荒れることなく、8年間という長期的な視点で見ると順風満帆な航海でした。今もこうして無事に生き延びることができています。

もちろん、沈没とまではいかないまでも、慣れないフリーランス業に船酔い程度の苦労はありました。何より最初はこの業界に頼れるコネがなかったので、案件という魚を自力で釣り上げる術を身につけなくちゃいけません。しんどかったです。ウェブ制作のスキルも不足していて、せっかく釣れた魚なのに料理法が下手でまずい失敗になることもよくありました。

でも、航海を後悔なく止めなかったのは、フリーランスのメリットもじゅうぶんに感じていたからです。ひとりで活動しているので、当然、失敗の責任は全部自分で背負わなくちゃいけいけません。しかし、成功したときの旨味も全部独り占めできます。なんでも1人で独裁的に決められるのが性に合ってたんだと思います。ずっとこのまま気の向くままフリーランスを続けていくつもりでした。

会社設立は簡単

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ここ2年くらいかな、ときどきふと「法人化」というキーワードが頭に浮かぶのでした。

フリーランス歴を重ねていくにつれて、順調に売上が伸びました。ギラギラした暮らしをおくるのはあまり趣味ではないので、収入が増えたからといって個人的な出費はそれほど増えません。出ていくお金で増えるのは税金が主といった具合です。納税は国民の義務です。わかってはいるけれど、できればうまく節税したいなあという気持ちが芽生えてきました。

売上が伸びるということは、案件が増えたからです。幸いにも、2013年に始めたこのブログもうまく働いてくれて、依頼の数が倍増しました。でも、現状は残念なことに断ることのほうが多いです。理由は人員不足です。いま支えてくれているアシスタントもじゅうぶんに育ってきました。さらに人を増やして、より多くの案件に対応していければなあと考えてます。

「節税と組織化は自営業よりも法人のほうがやりやすい」、そういう噂をよく目に耳にします。真相を確かめるため、いつかそのうち一度くらい税理士さんに話だけでも聞いてみたいと思うようになったわけです。

でも、だめですね、やっぱり。「いつかそのうち」は一生来ません。無理やりにでも予定をねじ込まないと、物事は実現しないのです。

それで、税理士さんと初めて面談したのが3月です。それからたった4回の面談を経て、期間にすると1ヶ月です。役所に出向いた日をいれれば拘束日数はわずか5日で、このブログの名前を冠した株式会社ができあがりました。この2年のうだうだした検討時期はなんだったんだ? 会社を作るのってすごく簡単です。

会社設立の流れ

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じつはまだ法人口座を作ったり、いままでの個人事業の廃業届けを出したり、仕上げの作業がちらほら残ってますが、流れはこんな感じでした。

  • 1. ネットで検索した税理士さんと面談
  • 2. 税理士紹介サービス経由で税理士さん2名と面談
  • 3. 事務所用の物件を契約
  • 4. 区役所で住民票の移動と印鑑登録
  • 5. 税理士さんと行政書士さんと最後の面談

ざっくり1から5を振り返ってみます。

1. ネットで検索した税理士さんと面談

最初は普通にグーグル検索で近場の税理事務所を探しました。交通の便が良いところで法人化を前提にした会社設立パックみたいなサービスを提供しているところです。

一応、質問したいことをリストアップし、去年の損益計算書と貸借対照表も備えて面談へ挑んだのに、ボクの攻め方が甘かったのか、面談後にあまり的を得られた感覚がなく、かえってモヤモヤがたまりました。

例えば、いまの収益から法人化すると実際どれくらいの節税効果があるのか、のような具体的な法人化のメリットを知ることができませんでした。具体的なことは進めながら形にしていきましょう、というスタンスの税理士さんで、そのやり方については異論はないのだけれど、あらかじめ決められた時間内での面談が消化不良で終わり残念でした。

でも、面談の準備をしたことで、それまではボンヤリとしか見えてなかった会社設立というイベントがぐっと身近に感じられるようになりました。初面談の帰り道、法人化についてかなり前向きになってる自分に気づきました。

2. 税理士紹介サービス経由で税理士さん2名と面談

最初の税理士さんと会ったことで、もっと具体的に会社設立のメリット/デメリットを知りたくなりました。次は税理事務所を紹介してくれる仲介サービスを利用しました。これがかなり良かったです。

税理士さんとの面談へも付き添ってくれる担当者を付けてくれます。面談の仕方を心得ている担当者さんが、まるで税務の知識がないボクの代わりに、ここで聞いておくべきことをどんどん切り込んでいってくれます。面談は効率的に進みますし、税務の知識も深まりました。

その日のうちに2箇所の税理事務所を訪問しました。傾向がぜんぜん違う税理士さん、二人と会えました。ひとりはかなりベテランな印象で、経験も豊富そうでしたが、最終的には年が近く打ち明け話もしやすそうな若手の税理士さんのほうへ決めました。これから長く付き合っていけたらいいなと思ってます。

税理士選びに困っている方は、以下のような紹介サービスが便利ですよ。

3. 事務所用の物件を契約

ここはけっこう迷いました。登記用の事務所をどうするかです。

じつは東京にすでにバーチャルですが、事務所があります。もしかしたら、そこでも登記できたのかもしれません。でも、実家に近い場所で物件を借りることにしました。税理士さんも近所です。税務調査があれば、事務所まで来てもらわなくちゃいけません。東京へわざわざ出向くのは面倒です。

登記住所は公開されます。早いものですね、ネットで検索したらもう会社の情報がヒットしました。住所もばっちり現れてます。自宅で登記も選択肢のひとつでしたが、やめておいて本当に良かったです。

4. 区役所で住民票の移動と印鑑登録

登記用の事務所へ住民票を移動させる必要がありました。住民票を移動させると、国民健康保険証も住所を改め、その場で発行してくれました。役所訪問を一度で済ませるため、印鑑登録してからの印鑑証明の取得もしておきました。

5. 税理士さんと行政書士さんと最後の面談

具体的に会社設立の要件を決めました。行政書士さんも同席し、会社設立のための書類を作ります。

今期の売上を予測し役員報酬も決定しました。役員報酬は代表者が受け取る給料です。一度決めると年間通して変更できません。昨年の経費を参考に節税効果も期待して、生活に困らない額に決めました。

専門家に任せるのがベスト

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こうして流れを振り返ってみても、最初の面談から実際に会社が起こるまで特段めんどうなことはありませんでした。唯一、役所へ行く日にひどい雨だったということだけがだるかったです。

ネットを検索しても本屋に行っても、自力で会社を設立するための情報は余裕で得られます。いま会計処理に利用してるfreeeでは、知識がなくても「5分でできる」なんてアンビリーバボーな謳い文句の会社設立サービスを提供してます。

たぶんボクもやろうとすれば自分でできたと思います。でも、やっぱり専門家を頼ってよかったです。自力でやろうとする人の多くは費用的な理由からだと思います。でも、実際はプロの手に委ねたほうが、時間的にも費用的にもロスがなく、かえって得します。

会社設立までの途中は、細々としたことをいろいろ決めなくちゃいけません。その度に何が正解かわからず迷います。列記してみます。こんな、いま思い出してみると本当に些細なことも謎でした。

資本金の額、振り込み方
役員報酬の適正額
国民健康保険から社会保険への切り替え方
節税効果が高い年金の積み立て方
代表者の住所の決め方
会社の登記場所
個人事業は廃業しなきゃいけないの?
今までの屋号を残せる?
いままでの個人事業の決済方法
日本非居住者への外注費用の払い方、所得税のこと
源泉徴収の方法
所得税の計算方法
役員報酬が生活に不足してたら?
いままでの銀行口座は使えるの?
ドル建てでのアフィリエイト報酬について
いままでのクレジットカードは使えるの?
海外への渡航費・滞在費は経費にできるの?
作る印鑑の種類

どんな小さなことでも税理士さんへ尋ねると一撃で解決します。そばで道案内してくれる専門家の存在は本当に心強かったですし、実際、ロスせずに済んだ時間で本業に集中できました。手続きに追われて売上を損することもなく、専門家の知識を頼ったことで、節税効果も高まり、また、将来的な売上アップへもつながったと思ってます。

会社設立のメリット/デメリット

5/7

これは税理士紹介サービスの担当者さんが言ってました。「一般的なメリット/デメリットはあるけど、実際にどこを重視するべきかはケースによって変わるので、なぜ法人成りしたいのかを明確にして、その目的にあう税理士さんを選ぶのがいい。」

ボクの場合、デメリットを先にあげれば、手間とお金でした。あまり日本にいないので、法人化の手続きに時間をとられるのが怖かったです。

法人化したあとも、会社にしてしまうと税務に関わる事務作業が複雑に増えるので、税理士さんと顧問契約することを前提にしてましたが、それにはもちろん費用も発生します。社会保険の負担もリスクになるのかなあと思ってました。

でも、実際に面談をしてみて、節税と組織化によって期待できる利益を考えると、じゅうぶんに毎月の顧問料と決算期の決算料をカバーできることがわかりました。デメリットよりもメリットが上回ることを実感できたので会社にすることを決心しました。

会社設立後のこれからについて

6/7

近々、このブログ上でホームページ作成サービスの受注を再開しようと思ってます。ここで大体的に依頼を募るのが初めてなので、どれくらい反響があるのか読めませんが、うまく雇用環境を整えられるくらいに成果がでればなあと期待してます。

クラウドワークスの発達やブロガーの一般化などによって、ここ1から2年ほどで、フリーランスとしての働き方が珍しくなくなってきました。フリーランス宣言する人をよく見ますよね。

フリーランスという言葉の響きが、「自由」や「楽、イージー」を連想させるので、なってみたいと考える人も多そうですが、実際に手伝ってもらったことのあるフリーランスの方々に話を聞くと、少しの退職金も失業保険も保障されてないこの制度的に宙ぶらりんな状態に不安を感じているという声は多いです。

これまで何人かの外注さんに継続的に支えられてきました。今すぐとはいかなくても、せめて最初は直近のアシスタントからでも、しっかりとした雇用契約を結んで、将来的な不安が少しでも減るようなバックアップができるようになりたいです。

本当は業務的な中身は何も変わっておらず、ただ自営業から株式会社へ看板がすり替わっただけです。起業を目的にしたこともなかったので、熱く語る野望も今のところ、さっきの雇用に関して以外は思いつかないのですが、ゆるりぶらりとしているだけでなく仕事にもじつは精を出しているんだよというところも、これから見せていければいいなあ、いきたいなあと思ってます。

というわけで…

7/7

会社設立後のこれからも優しく見守っていただければ嬉しいです。このブログを始めた当初は登録できた「ウェブさえマガジン」を再開しました。ブログの更新情報が自動的にメールで受信できます。受信はもちろん無料です。いつでも解約できるので、まだ調整中の部分はありますが(おかしなバグなんかがあったら教えてください!)、気軽に登録してみてください。

最後に

これからいつまで会社を存続できるのかはさておき、いままでフリーランスとして生きながらえてこられたのは、最初に書いた運が良かったというのも事実ですが、やっぱりまわりにいる人の存在があったからというのが一番でかいと思います。ウェブのスキルを身につけるきっかけを与えてくれたのは友人でした。収入が少なかった時代も折れずに済んだのは、いつでも帰って寝られる部屋が実家にあったからです。母よありがとう。お客様にも恵まれていました。モンスターな方もいて、そのときは本当に沸騰するくらい頭にきましたよ。でも、いま振り返れば技術的、精神的にも成長させてくれたことに嘘なしで感謝してます。収入が増えたからといって、天狗になりムダに浪費をしていれば、今の生活はなかったでしょう。そばで監視してくれる人がいて命拾いしました。ウェブ業界にこそ人脈はありませんでしたが、ちゃんと人の存在がまわりにあったので寂しさを感じることはなかったです。現実世界はひとりで生きてこれるほど甘っちょろい場所ではありませんでした。気持ちの悪い蛇足だなあと我ながら思いながらも、これまでの感謝の意味を込めて最後にこのポエムを残しておきます。

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