怖っ!リターゲティング広告とは?その仕組みを理解する
今回の記事は、売上への効果が高い「リターゲティング広告」への誘いです。
リターゲティング広告は少し設定が難しいのですが、効果は絶大です。まずは「リターゲティング広告とは何か?」を理解するため、普通に誰もが体験したことのある恐ろしい仕組みからお話します。
目次
恐ろしい体験
さて、ネットを徘徊中、こんな恐ろしい体験をしたことありませんか?
あっちのサイト、こっちのブログ、どこへ逃げても同じ広告に追いかけられる…
「恐ろしい」はちょっと大げさかな。でも、同じ広告をさんざん見せられて「ウザい」と感じたことのある人や、「なんで同じ広告ばかりに出会うんだろう?」と不思議に思ったことのある人は、少なくないはずです。
実は、これらの広告は「意図的に仕込まれた広告」です。過去にアクセスしたことのあるサイトが広告主です。あなたを執拗に追いかけ、同じ広告を見せているのですよ。
「なぜそんなことをするの?」って。その理由は、リピーターがお金になるからです。
リピーターはコンバージョン率が高い
サイトで商品を買ったり、サイト主へお問い合わせをしたり。そういう売上へ結びつくサイト訪問者による行動を「コンバージョン」と呼びます。
コンバージョンの例
- ショッピングサイトでの商品購入
- 比較サイトでの資料請求
- 会員サイトでの会員登録
- 旅行サイトでのホテル予約
- アフィリエイトサイトでのリンククリック
こうしたコンバージョンを、サイトへ初めて訪れる人(新規客)と、過去に一度でもサイトを訪れたことのある人(リピーター)で比較した例が下の表です。
このサイトでは、
- New Visitor(新規客)のコンバージョン率は「1.90%」
- Returning Visitor(リピーター)のコンバージョン率は「3.99%」
リピーターは新規客と比べて、実に2倍以上の達成率になってます。ってことは、リピーターの売上への可能性は、新規客の2倍!
どれくらい差があるのかは、サイトごとに変わってきますが、およそどのサイトでもリピーターのコンバージョン率は新規客と比較して高くなります。リピーターは、ウマウマなのです。
このウマウマなリピーターに目をつけた広告が、どこへ行っても追いかけてくる「ウザい広告」なのです。正式な名称を「リターゲティング広告」といいます。あまりにしつこいので、「ストーキング広告」と呼んでもいいかも。
リターゲティング広告とは
リターゲティング広告は、過去にサイトに訪れたことのある人を狙って見せられる広告です。略して「リタゲ」とか、違う言いかたでは「リマーケティング広告(リマケ)」とかって呼ばれたりもしていて、一応、GoogleとYahoo!では以下のような使い分けがされています。
リマーケティング広告 | |
Yahoo! | リターゲティング広告 |
リターゲティング広告は、見せられるほうは嫌だけど、見せてる広告主にとっては非常に費用対効果が高い広告です。
先に数字で見せたように、リピーターは新規客よりも売上に結びつく可能性が高いです。自分自身の体験を振り返ってみてもそうでしょう。だいたいネットで買い物をするとき、初めてのアクセスで買うことは少ないはずです。いくつかサイトを訪れて、比較します。
この比較のさいちゅうは、企業側にとって商品をもっとも売り込みやすい時期です。どこで買おうかお客様の気持ちは揺れ動いていますが、買うことについては、おおかた決心しているからです。この絶妙なタイミングを逃さず攻め込めるリターゲティング広告は、広告費のムダをおさえ、売上に効果的に働きます。
リターゲティング広告の仕組み
リターゲティング広告が、リピーターを追いかけている方法。その方法は「クッキー(cookie)」と呼ばれる仕組みを頼っています。
クッキーとは、あるサイトを利用したときの利用情報を、利用者の端末へ一時的に記録しておける機能のことです。端末はPCだけでなく、スマホやタブレットも含まれます。
記録できる情報の例をいくつかあげると、
- サイトへ訪問した時期や回数
- 会員制のサイトで使ったログイン用のIDやパスワード
- 入力フォームで入力した名前やメールアドレス
など。これらの情報を利用して、広告があなたを追跡してくるのです。
ターゲティング
リターゲティング広告の、優れたところは単純にリピーターを獲得できることだけではありません。広告を見せる相手を細かく絞って、リピーターの中でもさらに売上に結びつきやすい超優良のリピーターだけをサイトへ導くことができます。
広告を見せる相手を絞ること。それを「ターゲティング」と呼びます。日本語的に言い換えれば「マトにする」でしょうか。リターゲティング広告では、ざっとあげただけでも下のように、マトにする対象を絞り込めます。
- サイトを訪問したことがある人
- コンバージョンに達した人/達してない人
- 閲覧したページ
- 利用端末
- 性別・年齢とか
それぞれについて軽くどういうことか説明してみます。
サイトを訪問したことがある人
これは基本です。リターゲティング広告は、過去にサイトを訪れた人を対象にしている広告です。最初のターゲティングとして、ネットを利用している人全体から過去にサイトへ訪れた人を区別して狙っています。
そもそも、まったく興味のないサイトへ訪れる人は、あまりありません。一度でも、あなたのサイトへ訪問した人は、少なからず、あなたが販売する商品や展開するサービスに興味がある人だといえます。
なので、無差別に広告を見せるよりも、一度でもあなたのサイトへのアクセスしたことのある人へ見せたほうが、広告は効果的に働きます。
とはいっても、「過去の訪問者」だけでは、広告の効果を最大限に高めることはできません。範囲がまだまだ広いです。さらにターゲットを絞るために、以下のような区別を利用します。
コンバージョンあり/なし
コンバージョンは、サイト訪問者による売上に結びつく行動を指します。商品の購入やお問い合わせフォームの送信などが、その例です。
過去のサイト利用者のなかには、すでにコンバージョンへ達したお客様も含まれています。
購入頻度が高い商品であれば、購入後のお客様へ何度も広告を見せても広告費のムダにはなりません。でも、例えばマンションのような、高額で使用期間も長く、一生に一度買うか買わないかの商品の場合、広告が再購入へつながる可能性は薄いです。
マンションは極端な例だとしても、過去のコンバージョンがあるかないかは、広告の成功に影響します。リターゲティング広告では、コンバージョンがあった人/ない人でわけて広告を見せられます。
閲覧ページ
リターゲティング広告では、過去のサイト利用者の中から「このページを見た人にだけ、この広告を見せる」なんてこともできます。
ファッション系のネットショップは、扱う商品がたくさんのカテゴリーにわかれています。Tシャツを探しにきた人、アクセサリーを求めてきた人、いろいろいます。このような欲しい商品が異なる人達全員に同じ広告を見せるのはムダです。Tシャツを探しにきた人には、Tシャツを売り込むための広告を。アクセサリーを求めてきた人にはアクセサリーの広告を。
旅行系のサイトもいい例です。ホテルの予約サイト。バンコクのホテルを探しにきた人へ、パリのホテルの広告を見せても、決して予約へはつながりません。
過去のサイトの利用者が、どのページを閲覧したのかわかれば、どの商品・サービスに興味があるのかわかります。その興味にマッチする広告を見せれば、広告の成功率は高まります。
利用端末
サイト利用者の端末で、広告を見せるか見せない、という絞りかたもできます。あるいは、PC利用者にはこの広告を、モバイル利用者にはあの広告を、も可能です。
最近はスマホユーザーが驚くほど増えていて、このブログもそれに影響を受けてます。サイトによっては、明らかにPC対モバイルでどちらかが圧倒してコンバージョンが高いという場合があります。
PCのコンバージョンが極端に低いとするなら、あえてPC相手に広告を見せる必要はない。そういう判断もできます。
年齢・性別とか
年齢や性別で広告を見せる相手をわけることもできます。年齢が商品の売れ行きに影響するのは普通でしょうし、性別も同じく。大人の男性向けの商品を、女の子へ執拗に売り込もうとするのは…なんていうか、ヘンタイですね。失敗します。
他には、地域や広告を見せる曜日や時間帯でターゲティングすることも可能です。地元を大事にし、営業時間も限られたリフォーム屋さんなら、それに合わせたターゲティングが必要です。
いままであげた方法は、柔軟に組み合わせることができます。
例えば、過去にサイトを訪れた人の中で、「資料請求はまだの男性20代、大阪在住の人だけに広告を見せる」なんてことが可能になるわけです。
ターゲティングがうまくいけば、広告費の浪費を防ぎ、コンバージョン率を最大限に高められます。
でも、ウザい
どこまでも追いかけていくリターゲティング広告は、効果がある一方で嫌われやすい弱点もあります。
特にウェブの知識をお持ちの人は、なんども広告を見ている(見せられている)うちに、「ぜったいここでは買わん」という気持ちになったこと、あるでしょう。リターゲティング広告の仕組みを知らない人でも、あまりにもしつこく追いかけられれば不信感を抱きます。
お金をかけた広告のせいで、逆にお客様を遠ざけてしまうことになるのは悲しいです。そんな悲劇を避ける設定が「フリークエンシーキャップ」です。
フリークエンシーキャップとは
日本語でいうなら「頻度の調整」。広告を見せる頻度を調整できる機能のことです。
「月、週、日」で、広告を見せる回数に上限を定められます。広告のクリック数とコンバージョンの数を計測しておけば、広告の表示頻度とコンバージョンの関係を把握できます。どれくらいの頻度で広告を見せるのが、嫌われずに、もっとも売上に効果的なのかを分析して適切なフリークエンシーキャップの設定をしましょう。
広告を見せる時期も決められる
リターゲティング広告は、広告を見せる時期も自由に設定できます。
たとえば米。一ヶ月でどれくらいの米を消費するのかは家族構成によりますが、どの家庭でも、キロ単位で米を買った直後にまた米を買うなんておバカなマネはしないでしょう。つまり、米を買った直後のお客様に米の広告を見せてもムダ。できるなら、買った米を消費するまでの期間を予測して、なくなりそうな時期を狙って広告を見せたいですよね。
それ、できます。
違う例では、季節ものの商品。今年、母の日用のギフトを買ってくれたお客様なら、来年も買ってくれそうです。来年の母の日が近づく頃に広告を見せる。広告を見せる時期を調節すれば、そういう作戦も可能です。
違うドメインのサイトへも集客できる
広告を見せる相手を、ドメインが異なる別のサイトへ集客することもできます。これ、けっこう使いドコロが多いです。
このブログはウェブ関連の情報が中心ですが、旅行ネタもけっこう話題にしてます。その中でも以下のミャンマーの記事は特に人気があります。
これは、旅行前に必要なビザの取得方法に関する記事です。アクセスする人の多くは、ミャンマー旅行を目前にひかえた人たちです。ミャンマーへの航空券をどこで買うか、ホテルはどこにしようか検討している人も、たくさん含まれているはずです。ミャンマーへの航空券を安く販売しているサイトやホテルの予約サイトへ連れていけば、なかなかアツい売上げを期待できそうです。
近頃は、サイト単品でアクセスを稼ぐのがますます難しくなってます。ブログは定期的な更新が実を結びやすいですね。ブログで集客したお客様を別ドメインの販売サイトへ連れていく、ということができるわけです。アフィリエイトサイトを運営するような場合でも、効果を発揮する方法です。
リターゲティング広告の設定方法
リターゲティング広告を始めるには、広告業者と契約が必要です。リターゲティング広告を提供している業者はいくつかあります。最初は大手のGoogleかYahooで始めてみるのがおすすめです。この二社だけで、ネット上の広告媒体の8割をカバーできます。
設定画面の操作方法に微妙な違いはあっても、両方とも契約後、広告を始めるまでの設定方法は似ています。簡単に流れだけを追ってみます。
- 1. リターゲティング広告用のタグをコピペ
- 2. 広告を見せる相手を絞る
- 3. 広告の配信プランを決める
- 4. 開始!
1. リターゲティング広告用のタグをコピペ
リターゲティング広告は、クッキーで収集したサイトの利用者情報を利用します。最初のほうで書きましたね。覚えてますか?
クッキーでサイト訪問者の利用情報を収集するためには、「リターゲティングタグ」が必要です。リターゲティングタグは、広告業者と契約しリターゲティング広告を始めるときに必要な設定作業の途中で取得できます。
取得したリターゲティングタグを、サイトを構成するhtmlファイルやphpファイルにコピペすれば準備は完了です。
2. 広告を見せる相手を絞る
管理画面では、広告を見せる相手を絞るための「ターゲティング リスト」を作成できます。先にもあげた、「コンバージョンあり/なし」や「閲覧ページ」など条件を組み合わせて、理想的なターゲットを作りましょう。
最後に、広告にかけられる予算や広告配信のスケジュールなどを決めて広告キャンペーンを設定しましょう。ターゲットに見せる広告の作成も必要です。
そして忘れちゃダメなのが「サイトへのプライバシーポリシーに必要な記載事項」です。リマーケティング タグでサイト訪問者の利用情報を収集し、広告配信に利用していることをちゃんと自サイトで告知しておくことが必要です。GoogleもYahoo!も、専用のページを用意して、案内してます。
リターゲティング広告 設定方法の詳細
リターゲティング広告を設定する詳細な手順を以下でまとめました。今はGoogleだけですがYahoo!についても書く予定です。
広告キャンペーンを始めたあとは、常に広告がうまくいっているかを計測しましょう。予算の調整やターゲティングの補正など、少しの工夫が大きな効果に結びつくことは多いです。
リターゲティング広告を成功させるコツ
どの種類の広告でも成功させるには、適切なタイミングで正しい人に見せることが重要です。
まちなかでよく配布している使い捨てのコンタクトレンズ屋さんのチラシ。視力に自信がある人に渡してもムダです。ついさっきストック用のコンタクトレンズを買ったばかりの人に渡しても同じで、チラシはゴミ箱一直線です。
本当にチラシを有効活用したいなら、目が悪い人、そして、そろそろコンタクトレンズのストックがなくなりそうな人を狙うべきです。つまり、ターゲティングをうまくやれ、ということです。
もちろん同時にチラシの内容にも磨きをかける必要があります。チラシ面に使う写真のチョイス。キャッチコピーの言い回し。実際にチラシがどれだけ集客に貢献しているかを計測して、改良していくことを心がけます。
リターゲティング広告の場合も同じです。広告効果を最大限に高めるため、次のポイントをおさえておきます。
- 「誰に」:誰に広告を見せるのか。具体的にイメージして、できるだけ対象を絞る
- 「何を」:何を広告として見せるのか。ターゲットが欲しがるものを売り込む
- 「いつ」:広告を見せるための適切な時期はいつなのか?
- 「どこで」:広告を配信する媒体。あるいは、広告を見せる対象がどこにいるのか?
- 「どうやって」:広告の見せかた。キャッチコピーや写真の使い方をベストなものに
- 「いくらで」:予算。ちゃんと利益を確保できる予算設定が重要
- 「なぜ」:そもそもなぜリターゲティング広告を利用するのか。目的、目標の設定
これらは物事を考えるときによく利用されるフレームワーク「5W2H」にしたがったものです。広告戦略を練るときにも利用しやすく、漠然ととっちらかったアイデアをまとめあげるのに役立ちます。
リターゲティング広告の行く末
最近、あちこちでアンチ広告の雰囲気を感じますね。
iPhone 6sの広告ブロック。iOS 9のsafariには、広告を非表示にする機能が搭載される予定です。
あまりに効きすぎるため、欲しくない商品を買ってしまうという被害が増大し、将来的にリマーケティング広告が規制されるかもしれないという話もあります。
見たくもない広告に追いかけられるのは、確かにウザい以外のなにものでもないですよね。でも、広告収入によって成り立つメディアやウェブサービスが多いのも事実です。無料で利用できているのは、ボクら利用者の代わりに、広告が運営資金を生んでくれているからです。
アフィリエイトやアドセンスのように、誰でも広告を利用して稼げる仕組みが広がってます。今まで以上に広告を目にする機会が増えたのでしょうか。広告について、意見が対立する場面をネットでよく見かけます。広告を出す側と見る側ではまるで意見が違っていて、面白いなあと眺めています。
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